インバータ駆動による船舶電気推進(4)－電動機と可変速制御技術

摘要

本連載では，船舶電気推進システムの電気的な特徴を最も決定づけるのが電力変換方式であるとの認識から，電力変換装置とそれを構成するパワーデバイスを主体に論じてきた．ところで，その基盤技術であるパワーエレクトロニクスとは，「パワー」＋「エレクトロニクス」だけであろうか．用語的には確かに"Yes"であるが，技術的な答えは"No"である．もう一つの大きな柱である「制御」があってこそパワーエレクトロニクス技術が成り立つのであり，学術的にもパワーエレクトロニクスとは上記3分野が重なり合った総合的な技術分野として定義されている．連載の後半に入る本稿では，「制御」をキーワードに挙げて，制御に関連する技術について紹介する．インバータのPWM制御については前回に報告しているので，本稿では各種電動機とその特徴，電動機の制御技術と特性，および電気推進の特性について解説する．ただし，議論の前提としては，推進用電動機のトルク，回転速度および電力が自在に制御可能なPWMインバータを適用した駆動システムを前提として説明する．また，制御システムが複雑になると監視システムも重要となるので，監視技術の実例についても紹介する．