シップリサイクル条約に基づく既存船向けインベントリ作成について

摘要

地球環境の行く末を懸念するニュースは，毎日様々な角度からセンセーショナルに報じられて久しい．以前であれば，高スペックを誇つていた様々な産業分野における技術も，今はいかに地球に優しいかが問われている．海事産業においても，規制の主眼は環境分野におかれ，バラスト水管理条約や2020年SO_x排出規制が施行された．そして，船舶そのものの解体についても，不十分な設備での解体作業による海岸地帯の水や土壌汚染，また劣悪な労働環境の下での作業員の健康被害が危惧されている．そhな中，2009年5月IMOにおいて「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約（通称シップリサイクル条約）」が採択された．昨年末に世界最大の解撤国であるインドが同条約を批准したことにより発効間近となった今，そして条約に先駆け欧州規則を発効し，EU籍船のみならず，EU加盟国に寄港する非EU籍船にも今年末までに本船への備え付けが要求されるインベントリについて，その作成方法および日本海事協会（以下NKと言う）の取り組みを紹介する．