見逃さないで！がh患者のうつ症状--緩和医療における薬物治療は？

摘要

うつ病はがh患者に多い精神症状の1つである。がh患者のうつ症状は，QOLの低下，自殺リスクの増加，治療選択の判断力にも大きな影響を及ぼすことが考えられる。がh患者の場合，がhそのものによる苦痛などの身体症状とうつ病との判別は困難である。よって，患者の訴えを傾聴し，精神症状を見逃さずに心のケアを行うことが重要となる。現在，がh患者のうつ病に対する薬物療法として，ノルァドレナリン作動性·特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)であるミルタザピンの有用性が高まっている。ミルタザピンは，脳内でのセロトニンおよびノルァドレナリンの遊離を増大させ，5-HT_2および5-HT_3受容体拮抗作用により，抗うつ作用に関与する5-HT_(1A)受容体を選択的に活性化すると報告されている。