アルッ八イマ

摘要

アルツハイマー型認知症（AD)の中核症状は，記憶，見当亂理解，学習，判断，言語，実行機能などを含む高次脳機能の障害を主とする認知機能障害である。しかし，実際に患者の介護を行う家族や，患者が入所している施設職員にとって，その対応上の問題となるのは患者が呈する幻覚，妄想，うつ，不安，興奮，焦燥，攻撃性，異常行動，徘徊，喚声などのいわゆる周辺症状である。これらの症状は，認知症の行動心理的症状（behavioral and psychological symptoms of dementia ； BPSD)とよばれている"。BPSDは，認知症患者の約8096に発現していると推定されている。その要因は，心理的要因，社会的要因および大脳の神経病理学的変化を含む身体的要因が考えられている。治療は，非薬物的なアプローチから開始し， それらの効果が乏しく BPSDが持続し，家族や施設職員などの介護者の負担が大きく日常生活を送るのが困難と判断してから薬物療法を開始するのが基本である。