多発性口内炎と疣贅型黄色腫を併発した1例

摘要

疣贅型黄色腫（verruciform xanthoma ：以後，VXとする） は組織学的には被覆重層扁平上皮の乳頭状増殖と結合織乳 頭部に限局した泡沫細胞の集簇を特徴とする良性の粘膜病 変である。1971年，Shaferにより最初の報告1)がなされ て以来，本邦でも報告されるようになったが，その多くは 歯肉?歯槽粘膜部に発生したものであり舌での報告は比較 的まれである。また，VXは生殖器などでの発生も知られ ているが，一般に血清脂質の変動を伴わない局所病変とし て位置づけられている。随伴病変として様々な疾患が 報告されているが，全身的背景との因果関係については明 確ではない。本論文では，多発性口内炎患者の舌縁部に 発生したVXのまれな1例を経験したのでその概要を報告 する。