農家数減少に伴う土地改良区の改革と農業農村整備政策

摘要

農家戸数の減少が顕著になってきた。農業経営体数の減少率は2005-2010年で16.4%,民主党農政の影 響を含む2010-2015年で18.0%であった*"。政権交 代を伴う農政の変動期にあっても，農業者の高齢化と 後継者不足に端を発する農業経営体の再編傾向は拍車 がかかるばかりである。農業用水を維持管理する土地改良区は深刻な課題に 直面している。農家戸数の減少は，農村に「農業に従 事しない住民」を増加させる。これにより，全戸出役 型が一般的であった農道や水路などの農業生産資源の 維持管理活動が，そのまま維持できなくなっているの である。農業からのリタイアは維持管理活動への参加 からのリタイアにもつながっている。この傾向が続く と，維持管理のコストは規模拡大の制約条件になるで あろつ。