3次元CAD/CAMを用いた機械工作実習の教育効果とその関連要因（質問紙調査に基づいた検討）

摘要

質問紙調査に基づいて，3次元CAD/CAMを用いた機械工作実習の教育効果とその関連要因について検討した結果，以下のことが明らかになった．(1)実習前の経験·知識·印象と実習中の作業時間との関係については，パソコン経験（基本·応用），興味（全般印象）と“CADモデル作成”の作業時間との間に負の相関関係が認められた．このことから，3次元CADの操作を円滑に行うためには，パソコンの操作技術や知識を身につけておく必要がある．また，3次元CAD/CAMに対して興味を抱かせるような設計製図教育を行っておくことが重要である．(2)実習中の作業時間と実習後の感想との関係については，“CADモデル作成”の作業時間と全ての実習作業に対する感想“困難”との間に正の相関関係が認められ，作業時間が長いことが，「本実習は難しい」という感想につながることがわかった．よって，実習の感想を改善するためには，作業時間を短縮する方策が必要である．(3)作業時間を制御変数として，実習前のパソコン経験·製図知識·実習に対する印象と実習後の感想との偏相関を求めた結果，実習前の因子と実習後の因子が直接関係することが確かめられた．この結果より，3次元CAD/CAMは難しいと感じている学生を減らし，本実習を通じて3次元CAD/CAMに対する興味や関心を高めるためには，事前に学生にはパソコン経験を積ませて，製図知識を習得させることが必要である．また，設計製図に対して興味や関心を引くような教育を事前に実施することも重要である．