システム·才ブ·システムズのデザインアプローチ

摘要

システム·才ブ·システムズ（System of Systems; SoS)とは，地理的に分散する構成要素がそれぞれ 独立して管理?運用され，それゆえに，全体が創発 的な挙動を示し，進化的な開発プロセスをたどるよ うな，高度に複雑なシステムを指す用語である. そのようなシステムの例として，Jamshidiは，航 空?宇宙システム，防衛システム，インフラシステ ム，センサーネットワークシステム，交通システム， 電力システムなどを挙げている.図1に，電力シス テムを例にとったSoSの概念図を示す.電力システ ムは，電力系統の他，電力市場や政策体系，電力機 器の製造システムなどを構成要素として持つシステ ムと見ることができる.このとき.構成要素のそれ ぞれも複雑なシステムとなっている.例えば電力系 統システムは，火力，大規模水力といった従来の集 中型電源とそこで生み出された電力を末端の需要家 まで届ける送電網システムを基本構成としながら， 近年は風力，太陽光など自然エネルギ一を中心とす る分散型電源の導入が進む一方で，電力の受給バラ ンスを調整するためのスマ一トメー夕一や変圧器の 整備.自然エネルギ一の天候による変動を吸収する ための蓄電池の導入などの検討も求められる.さら に.電力系統の構成要素である需要家も，太陽光発 電パネルによる分散電源を導入することにより，発 電と消費の機能を持つ1つのシステムを形成するこ とになる.これらが相互作用することにより，シス テム全体の挙動は非常に複雑で予測困難なものとな る.