課題の変化と設計解

摘要

何事も過去がなければ現在は無い．アイバン·サザランドが，1963年コンピュータと人間の革新的な対話方法を発表したのが，CADの始まりだった．現在のCADでは当たり前のことではあるが「線を描くことで（キャプション以外の）文章入力を不要にした，マン-マシン·コミュニケーションが実現」したのだ．1970年代には，B-rep, ASICなどを含むソリッドモデリングの技術が開発され，1980年代には，多くの3次元CADが産声を上げた．1990年代には，パーソナルコンピュータの処理能力が一気に向上したこともあり，設計者1人に1台の3次元CADという，画期的な設計環境が可能になった．サザランドは，物理的世界と数学的世界とを「正確な図形を描く」ということでつなげた．CADが生まれてから60年．今や「物理的世界」と「数学的世界」が，ほぼ完全にデジタルにつながる未来の幕が開けたのである．