わが国における風車の故障·事故の現状とその特徴（第1報：故障·事故発生状況の概況）

摘要

わが国の風力発電システムの導入は、特に1990年代後半以降、風車の大型化と大規模ウィンドファームの建設に伴って急速な伸びを呈し、近年は電力会社による連系容量の制限等により導入は鈍化傾向にあるものの、平成21年（2009年）度末の疲備容量では約220万kWに達した。このように導入量が推移する一方で、技術面では設置後の品質管理上の問題、トラブルへの対応やメンテナンス対応およびわが国独特の気象条件といった風力発電に関する諸問題により、サイトによっては計画された発電量が得られないという問題が顕在化し、風車の利用率（利用可能率（Availability）および設備利用率（Capacity Factor）の双方を指す）向上の必要性が指摘されてきた。本論文は、これまでの調査で得られた知見を整理して紹介するとともに、蓄積された貴重な故障·事故データを整理·解析し、わが国における風車の故障·事故の現状と特徴等について示すものである。