拡散光トモグラフィの画像再構成における頭部モデルの構造と光学特性値の影響

摘要

近赤外分光法（near-infrared spectroscopy：NIRS）は，酸素化，脱酸素化ヘモグロビンの近赤外領域での吸光特性の違いを利用して，生体組織内の酸素化，脱酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定することができる．NIRSの原理を利用して，脳の神経活動に付随して局所的に発生するヘモグロビン濃度変化を検出することで，脳機能計測やイメージングが可能となる．脳機能イメージングを行う技術には，NRS の他に，機能的磁気共鳴画像法（f-MRI：functional magnetic resonance imaging）やポジトロン断層映像法（PET：positron emission tomography）などがある．NIRSによる脳機能イメージングは，装置の可搬性，測定の低拘束性，時間分解能，装置コスト，さらにPETに対しては放射線被曝がないという利点がある，とくに，可搬性や低拘束性は，発達生理学における幼児を対象とした計測や精神疾患の鑑別診断補助などにおいて大きな優位性となっている．一方，f-MRIやPETと比較して，空間分解能が低いという問題点がある．