半世紀近くに渡って、光学用途への応用は不可能と考えられてきたセラミックスでは有るが、この10年間で急激な進化を遂げた。レンズ材料として応用可能なセラミックスのみならず、究極の光学的品質を要求されると言われるレーザー媒質にも応用され始めた。最も詳細に検討されている材料はYAGであるが、この材料は1980年代にフィリップスリサーチのG. de Withや旧科学技術庁無機材質研究所(現独立行政法人物質材料研究機構)の羽田らによって開発が始められ、1995年にレーザー発振が確認された後、2003年5月になってようやく単結晶に遜色無い或いは単結晶を凌駕するまでにその技術が磨き上げられた。実に四半世紀に渡る開発によって育て上げられた技術である。近年開発されたセラミックレーザー媒質は、単に既存の単結晶材料の置き換えにとどまらず、従来技術では不可能であった大出力固体レーザーを可能にしつつある。講演では、これまでに明らかにされてきたセラミックレーザー材料の特性並びにそれらを用いたレーザー開発の現状について紹介する。
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