多モード半導体レーザーを光源とするSagnac干渉計型光ファイバーセンサー

摘要

近年，ファイバーブラッググレーティング（FBG），長周期ファイバーブラッググレーティング（LPG）や光干渉計をセンサー部として内含する光ファイバーセンサーを利用した温度·振動·歪み·角速度等の各種センシングが幅広く行われている．測定対象の変動は，センサー部を介して透過光または反射光スペクトルのピークシフトをもたらす．したがって，広帯域光源（スーパールミネッセントダイオード等）を用いる場合は，光スペクトラムアナライザでそのシフト量を計測することにより測定対象の変化量を見積もることができる．一方，狭線幅光源（レーザー）を用いる場合は，スペクトルシフトによって生じる光強度変化を計測することにより同様にセンシングできる．前者は温度·歪みなどの比較的変化の遅い計測を簡易装置で行う際に有効であり，後者は比較的変化の速い振動などのセンシングに対して有効である．ただし，光ファイバーセンサーシステムは，一般的に光源へ戻り光が帰還する構成になるため，光源にレーザーを用いる場合は，出力が不安定になりやすいことに注意する必要がある．このため，光源側で，分布帰還形半導体レーザー（DFB-LD）を注入変調して低コヒーレンス化を図るか，あるいはセンサー側で，戻り光量を抑制できるLPGを採用するなどの対策が講じられている．今回我々は，光ファイバーSagnac干渉計をセンサー部とする振動センサー用の光源として，利得変調したフアブリー·ペロー共振器型半導体レーザー（FP-LD）を用いることを提案する．汎用のFP-LDは安価であり，また，注入変調時の発振形態が多モード発振となるため，DFB-LDの場合よりも効果的に戻り光誘起雑音を抑制できる．この光ファイバー振動センサーの特性について数値的，実験的に調べたので以下に報告する．