鉄道車両の乗り心地とその評価

摘要

快適な乗り心地を提供するには，振動や騒音の低減技術の開発が不可欠であるが，快適という概念が非常に漠然としていることから，乗客の快一不快そのものを定量化する技術の開発も重要となる．振動のどのような側面が乗り心地の快一不快に影響しているのかを特定することができれば，その後の技術開発目標を設定したり，改善効果を予測することが可能になるためである．本稿では，列車内の快適性や乗り心地の評価に関わる人間工学研究のトピックをいくつか紹介する．主な話題は，乗り心地面から見た鉄道システムの特徴，曲線走行時の遠心力の影響，低周波振動と乗り物酔い，気圧変動に起因する耳閉感，シミュレータを用いた快適性の評価などである．