車上運転情報記録装置の技術動向

摘要

近年列車においても，航空機のフライトデータレコーダやコックピットボイスレコーダといったいわゆるブラックボックスに相当する運転状況を常時記録する装置の搭載が求められてきている．これにより列車事故やインシデントが発生した場合，そこに至るまでの客観的な運転状況の記録データから事故等の要因解析手段として用いることができるようになる．さらに，国によってはこれを運転士の運転技量評価手段としても利用する場合がある．日本においても省令により「運転状況記録装置」の設置が義務付けられているように，世界の多くの国々で同様な装置の設置要求が高まっている．特に欧州では，国際列車による相互乗り入れが頻繁に行われ，インターオペラビリティの観点からもこうした装置の標準化が強く求められてきたこともあり，現在IECにおいて国際規格化開発が進められている．本稿では「車上運転情報記録装置」に関して，主に海外における国際規格化に対応した最新の技術動向についてまとめてみたい·