カラスの科学－基礎から対策まで

摘要

カラスは人につかず離れず生活をしている。 その中で遊びと考えられるような人の興味を引く行動や生ゴミ漁りなど人を困らせる行動をとったりもする。2004年始めに鳥インフルエンザのキャリアとして疑惑を持たれたのもカラスである。 カラスは，2001年末までの調査では東京部内には推定3万7千羽棲息しているとされている。一方，昔の農村では豊作や農作業の安全を祈願する「烏勧請」や「鍬入れ」の風習にはカラスが祀られていた。 このようにカラスは，昔も今も艮きにつけ悪しきにつけ私たちと身近な野鳥であるがその実態は不明な点が多く問題行動への対策が難しいのが現状である。 私どもは数年来，カラスの生物学的特性を解明するとともに問題行動への対策の糸口を模索してきた。 また，カラスを多面的角度から見るため解剖学，生化学，行動学，音響学的手法など様々試みてきた。 本講演では，まだ道半ばの部分も含め，これまでの結果を紹介したい。