イオンクロマトグラフィーによる水中の残留塩素及び排ガス中の塩素の定量

摘要

水道水の浄水施設，学校，ホテルやレジャー施設のプール及び大浴場などでは，大腸菌，レジオネラ菌，O-157などによる感染を防ぐため，消毒剤として液化塩素，次亜塩素酸ナトリウム，二酸化塩素などが用いられているが，水道水ではトリハロメタン類の生成抑制やおいしい水への関心などから塩素注入の厳しい管理と水質の測定が求められている。 水中の残留塩素の定量方法には，滴定法，吸光光度法，電流滴定法，簡易比色法などがあり，滴定法は比較的高濃度の残留塩素，吸光光度法及び電流滴定法は低濃度の残留塩素の定量に用いられている。 本稿では，この方法を応用し，IC法で水中の残留塩素を定量した方法を報告する。また，本協会の大気技術委員会ワーキンググループが平成16年11月に行ったJISの排ガス分析に関するアンケート調査結果では，排ガス中の塩素，塩化水素，フッ素化合物，臭素などの分析方法の見直しとIC法の適用などの要望が多かった。 そこで，IC法による排ガス中の塩素の分析方法を提案し，実排ガス分析に適用するための問題点を明らかにすることにした。