反射防止構造のためのレンズ金型微細加工

摘要

反射防止構造（Anti Reflection Structure：以下ARS）は，レンズ表面にサブミクロンの大きさの凹凸を形成したもので，優れた反射防止機能が得られる．一般的に光学系を構成するレンズは，フレア·ゴーストの発生による像性能低下を防止するために反射防止処理される．従来はレンズ形状形成後，多層膜コート処理により反射防止機能が付与されていた．しかし，これに対してレンズ成形時にARSも同時に成形すれば，多層膜による反射防止コート処理が不要になることが期待できる．本稿では，非球面レンズの金型表面にARSを付与する技術について解説する．また，この金型を用いて射出成形にてレンズを作製し，デジタルカメラに組み込hでARSの効果を確認した結果についても紹介する．はじめに，ARS形状と反射率の関係について，次にARS付レンズ金型作製技術，成形技術について，およびそれらを用いて作製したARSレンズ光学系での撮像評価結果について解説する．