管見 太平洋戦争（第二次世界大戦）の再考覚書 続編--化学工業の歴史を出発点として見えてきたこと

摘要

アダム·スミス以来の経済学では、市場の機能、つまり、川口に言えば供給と需要の関係で決まる市場価格の変動により経済は均衡に向って自己調整するものとされていた。しかし、既に述べたように産業関連を極めて素朴に考えても市場には自己調整機能がなかった。1929年に就任したフーヴァ一大統領は、農業救済問題に取組み、農産物価格の安定を図ったが、価格の下落は止まず、有効な対策を打てなかった。1932年の大統領選挙でフーヴァーを破り、1933年に就任したルーズヴェルト大統領は、危機に対処するため国家が経済の調整に乗り出すニューディール政策を実施した。先ず、農業調整法（AAA）を制定して農業の作付面積の制限や過剰生産物買上による農産物の価格引上げを推進した。続いて全国産業復興法（NIRA）により、産業諸部門代表者をして需要供給のつりあいを監督きせて生産物価格の暴落を防止するなど、矢継ぎ早に政府が介入じて施策を推進した。最低賃金、最高労働時間、労働者の団結権や団体交渉権を保障するワグナー法や社会保障法を制定した。また、テネシw川流域開発公社（TVA）などによる地域開発事業や公共事業で、失業者の救済を進めた。