日本緑化工学会は時代の要請に応えられているのか？

摘要

日本緑化工学会が発足して今年で30周年を迎えます。1989年5月30日の日本緑化工研究会の定時総会にお いて，年度初めの4月1日に遡って学会として発足することが承認されました（会則制定は総会開催日の5月30 日付)。初代会長は当時名城大学教授であった新田伸三氏です。また，学会発足には京都緑化研究会の全面的な 協力があり，学会発足時には関西支部が設けられました。総会後には，学会発足記念公開シンポジゥム「"新しい緑化工学"の創成、発展をめざして」が開催されまし た。新たに組織化した研究部会が取り扱う分野の現状の問題点や今後の課題について各部会長から話題が提供さ れ，その後討論が行われました。当初の研究部会は，斜面緑化研究部会（部会長：小橋澄治氏)，都市緑化技術 研究部会（同：近藤三雄氏)，環境林研究部会（同：千葉喬三氏)，生態系保全研究部会（同：亀山章氏).乾燥 地緑化研究部会（同：村井宏氏）の5部会です。このときの話題は，最初の日本緑化工学会誌15卷1号（研究 会時代の緑化工技術からの通巻）に掲載されています。今，読み返してみると，現在に通じる問題点や課題が多 数指摘されています。なお.意外なのは，この号の会長言の中に，研究会時代は会員の中の研究者の比率が低 く，特に若手研究者を育てることが学会化の目的の一つである意味の一文があることです。