治癒率低く予防が重要、発症は飼養管理見直しのサイン:高泌乳牛に突然死招く出血性腸症候群(HBS)

摘要

出血性腸症候群（HBS)は国内では2003年以降、散発的に発生しており、主に成乳 牛で突然死を起こす疾病です(本稿では「疾病Jと記載)。小腸上部の粘膜下で出血しその 血液が固まることで、腸管内が詰まるという症状が見られ、出血の程度が激しいと、そ の部分は全層壊死(えし）してしまいます。特徴として、食欲があり泌乳量の多い搾乳牛 が突然死亡する例が多く見られることが挙げられます。近年世界で増加してし、る疾病の 1つで、本欄2019年3月号（クロストリジゥム感染症）で紹介した壊死性腸炎と似てい ますが、HBSの発症には複数の要因が関与しているため、予防に向けては発症機序（メ 力二ズム)を正しく理解することが重要です。