Mn-Ir/FM（FM=Fe-Co,Co-Ni,Ni-Fe）積層膜の交換磁気異方性と界面非補償反強磁性スピンの関係

摘要

強磁性（FM）／反強磁性（AF）積層膜で観測される交換磁気異方性は，MRAMセルや超高密度HDD用ヘッドに実用化されている．一方向磁気異方性が生じるにはFM/AF界面のスピン構造に“磁場反転に対して非対称な成分”が誘導される必要があるため，FM/AF界面に生じる非補償反強磁性スピンは交換磁気異方性の起源に深く関わると考えられる．著者らはMnIr/Co-Fe積層膜に生じるMn非補償反強磁性スピン及びJ_KのCo-Fe組成依存性を系統的に調査し，FM組成によってMn非補償スピンとFMスピンの結合方向が変化することや，bcc-fccの相境界で非補償スピンの大きさが大きく変化することを明らかにしてきた．さらには，bcc CoFeにおいてMh非補償スピンとJ_kとの間に相関が存在することを見出している．本研究では非補償反強磁性スピンとJ_kとの関係をさらに深く理解するためにMn-Ir/FM（FM=Fe-Co，Co-Ni，Ni-Fe）積層膜においてFM組成を系統的に変化させ，Mn非補償スピンとJ_kの調査を行った．