無線センサネットワークのノード状態管理における自律的な応答頻度制御による管理トラヒック削減と管理精度の向上

摘要

環境観測やスマートグリッドなどの分野で構築されつつあるセンサネットワークには，安定的運用と長期運用を両立して実現する省電力なネットワーク管理技術が求められる．著者らが提案する省電力管理通信方式では，各センサノードが，ゲートウェイの指示する応答方法に従い，ゲートウェイからの管理情報の要求に対して応答が必要な場合のみ管理情報を応答することで省電力化を実現する．しかしながら，各センサノードに指示する応答方法は，省電力化と管理情報精度のトレードオフを考慮した上で適切に判断する必要がある．本稿では，センサネットワークの管理情報を基に自律的に各センサノードの応答方法を決定する自律型省電力管理通信方式を提案めする．自律型省電力管理通信方式は，省電力化のために必要なセンサノードのみが応答するように応答方法を指示する際に，ネットワークの状態に応じて管理情報の精度を高めることを優先する応答方法を指示する．計算機シミュレータによる評価において，自律型省電力管理通信方式が従来方式に対して最大で約70％の消費電力削減効果を示しつつも，単純な省電力管理通信方式よりも管理情報精度を平均で約14％高めることを確認した．