円形ループアンテナを用いた4値多重軌道角運動量通信方式

摘要

ここでは、円形ループアンテナアレイを活用した4値多重軌道角運動量通信方式の提案を行う。ループアンテナの放射電磁界と電流分布の解析から、信号処理を要することなくMIMO通信が可能なことを示す。角運動量を記述する磁気量子数が概ね単ーモードとなる電流分布を実現するために一般化Z行列を用いて解析し、ループ周囲長が概ね波長の整数倍とすることで、これが可能となることを示す。また反射板付きのループアンテナを活用すると単一度がさらに向上できる。この構成の1対の4素子アレイアンテナを、近接した送受信点に配置したものは、ループ半径が等しいアンテナ間のみで伝送する近距離OAM通信に有効なことを示す。ループ半径が同じアンテナ間と異なるアンテナ間との通過量の比を通過アイソレーションと定義すると、送受信間1cmの場合、解析式ではこの値は17dB以上、実測値でも11.9dB以上が得られる。また遠距離にも対応できるよう、アレイの放射電磁界をパラボロイドで集束した構成を解析する。この場合の特性制限要因を明確にするとともに、送受信間1m の場合のシミュレーションを行い10.9dB以上の通過アイソレーションが得られることを示す。