MIMO端末特性評価のための電波環境構築法に関する考察[III]－フェージングエミュレータ方式のチャネル固有値特性

摘要

MIMO通信端末を模擬電波環境で評価したい場合には、OTA（Over-the-Air）状態での評価環境が必要になる。具体的な構築法には、周囲に仮想散乱体を配置してフェージング環境を作り出すフェージングェミュレータ型と、電波反射箱型（Reverberation Chamber）とがある。両者ともに、これまで無線端末の評価用に開発されてきた長い歴史がある。しかしながら、MIMO装置評価のためには、新たな機能が必要となるので、その部分を整理しておく必要がある。OTA型の評価環境は、これまでSISOやSIMO（受信ダイバーシチ）でのチャネル評価が大部分で、MIMO評価用環境としての検討が十分では無い。本稿では、2つの評価環境のうち、フェージングェミュレータ方式を取り上げ、計算機シミュレーションにより、固有値分布特性と散乱体アンテナ数の関係を明らかにする。