複数給電型パラサイトアレーを用いた適応指向性制御方式の検討

摘要

適応指向性制御を行うDBF(digital beamforming)アレーはRF回路を複数(アンテナ素子と同数)系統備えているため,回路規模や消費電力などが増大するという問題がある.この問題を解決するために,素子の一部をハードウェア構成の容易な素子とした複数給電型パラサイトアレー(MuPAR: multiport parasitic array radiator)アンテナが提案されている.筆者らはこのアンテナを用いた適応指向性の制御方法として,アナログ制御とディジタル制御を組み合わせた適応制御能力について検討を行ってきた.最急勾配法による通常の適応制御では,勾配を辿り最適解を追求することに比較的多くの制御を有するため収束に時間を要した.本稿では,制御処理前にアナログ制御の適切な初期パラメータ選択を行い,その後,制御アルゴリズムにより制御を行うことで収束特性の高速化を図る手法について検討を行った.