イスズミの食品利用の拡大に向けて

摘要

イスズミ類は，熱帯、亜熱帯性の植食性魚類で，国 内では南曰本に分布している。この仲間は，少なく とも江戸時代から国内での分布が知られているが， 魚体に独特の磯臭さがあるため，漁業関係者や釣り 人の間でも厄介者扱いされることが多く，ごく限ら れた地域でしか食用にされていない。近年，南日 本で起こっている磯焼けの中には，イスズミ類による海藻の食害が原因の一つと考えられている地域も 少なくない。このような海域では，イスズミ類を積 極的に漁獲し，利用を促進し，生息密度を抑え海藻 とのバランスを調節することが望ましいが,これ まで網にかかつても廃棄されることが多い。しかし, 一部の地域では工夫を加えてイスズミ類を食用とし ている。著者らは，イスズミ類の食品としての 利用拡大を図るために，魚体の処理法と調理法を考 案し，試作品の官能評価を行ったので報告する。