トロール漁具性能の多面的比較

摘要

トロール（trawl)ま，曳網を曳航する水深や拡網板 の有無および，曳航船が1隻か2隻かなどを問わず，曳 き回し網漁業を指すものと解されており"，一般に底び き網はトロールと同義語に使用される。我が国の大型ト 口 一ル漁船は，200力ィリ体制の導入より急速に減少し て現在ではごく少数が稼動しているだけであるが，沿岸 域では底びき網漁船の90%を超える約12000隻の10トン 未満の小型底びき網漁船が操業し，この漁法による漁獲量は我が国の総漁獲量の約9 %である。小型底びき網 漁船の多くは，拡網装置としてビームを使用し，これら のなかには10mを超える長大な鉄製ビームを使用するも のもあり，狭い甲板での作業性や鉄製ビームの海底環境 への影響などの問題がある。また，小型底びき網漁業の 従事者は高齢ィヒが進hでおり，長大なビームは作業者の 安全性や身体負荷の観点から使用が危惧される。一方， 沿岸および近海域の底びき網漁業は国産水産物の供給に とつて重要な生産手段であり，水産資源を適切に管理し ながら持続的な利用を図っている。