先天性膝関節脱臼の治療成績

摘要

先天性膝関節脱臼は稀な疾患でありその病態は多岐にわたる.本研究では2001年(平成 13年)9月から2011年(平成23年)9月までに当科を受診し先天性膝関節脱臼と診断された患者，7 例10関節(男児2例2関節，女児5例8関節)の治療法，治療成績を検討した.治療成績はKoらの 報告に従い4段階で評価した.脱臼の程度はDrehmann分類のgrade 2が6例8関節，grade 3が1 例2関節で両側罹患例は3例であつた.2例でLarsen症候群を認め，3例4関節で発育性股関節脱 臼を認めた.6例8関節(全例grade 2)が保存的に加療され，臨床成績は全例excellentであった. Larsen症候群の合併を有した両側罹患(grade 3)の女児で2回の観血的整復術を要し，臨床成績は goodであった.Grade 3の症例では基礎疾患の関与が大きいと考えられ手術的加療を要することが 少なくない.保存加療に抵抗性の場合には時期を逸せずに手術的加療を行う必要がある.