思春期特発性側弯症(AIS)の術前後の肩バランスについての検討

摘要

思春期特発性側弯症(Adolescent Idiopathic Scoliosis ：以下，AIS)患者の術前と術後の肩 バランスと冠状面カーブパターンとの関連を調べる目的で研究を行った.対象は，AIS患者30例 (女性28例，男性2例)，手術時平均年齢は16.0歳である.手術法はすべて後方からのロッド回転 式矯正法である.平均固定椎間数は10.4椎間であった.冠状面脊柱変形カーブタイプ分類には King-Moeの分類を用いた.検討項目は，肩パランスと立位全脊柱正面X線写真におけるT1 tilt, Radiographic Shoulder Height (以下，RHS), Clavicle angle (以下，CA)である.評価時期は，手術 直前と手術後1か月である.結果であるが，術前は左肩下がりが18例(60%)と最も多く，術後は左 肩上がりがは例(50%)と最も多かった.術前は，2型は全例で左肩下がりであり，術後は，3型と 5型で左肩上がりが目立った.Tltilt, RHS, CAはどれも術前と術後を比較すると有意に変化して いたが， RHSとCA力術前と術後の肩バランスの結果を反映する良い指標であることがわかった.