発育性股関節形成不全に対する広範囲展開法の治療成績

摘要

【目的】当科で2000年以降発育性股関節形成不全に対して施行している広範囲展開法の 治療成績について検討した.【対象と方法】広範囲展開法を施行した9例中，6歳以降まで経過観察 した5例5関節(全例女児）を対象とした.最終経過観察時の単純X線像でCE角，Shan)角，Se-verin分類，および合併症について調査した.【結果】手術時年齢は平均1歳5か月，経過観察期間 は平均8年3か月間であった.最終CE角は平均25.2°， Sharp角は平均46.6°， Severin分類はHa: 4関節，nb:l関節であった.合併症として巨大骨頭(REF>1.20)を3例に，Kalamchi分類で Group nの阻血性壊死を3例に認めた.【考察】広範囲展開法の治療成績は，X線学的評価において 良好な成績が報告されている力人追加手術や変形性変化の出現に関する報告もある.我々の症例で は，補正手術や関節症変化を生じた症例はなく，短期であるが治療成績は良好であった.今後も形 態と症状の変化について慎重な経過観察が必要である.