ミリ波を用いた缶内圧の異なる缶底形状測定に関する一検討

摘要

缶詰は巻き締めの不良などにより内容物が腐敗してガスが発生した場合，缶内圧の上昇が要因となり，缶底が膨張することが知られている．そこで本研究では缶詰食品の腐敗検出のため，ミリ波イメージングによる缶内圧の異なる缶底の形状変化の測定について検討した．缶の大きさに対して十分な空間分解能を得るため，二つの平行ビームレンズを用いた集光ビームレンズアンテナを用いる．まず，一次放射器である導波管の前にレンズを二つ配置した場合の電磁界解析により，電界強度および焦点距離について評価することで最良な測定系の配置間隔を決定した．次に，その測定系を用いて缶内圧の異なる缶の反射位相特性を測定し，位相をそれぞれ波長に換算することで，缶底部の形状を定量的にイメージングするとともに，50kPaの缶内圧の差に対して約0.5mmの缶底の寸法変化を確認した．以上の検討より，本手法を用いた缶内の腐敗検出への応用についての可能性を示した．