ErbB3/PI3キナーゼ経路の活性化と癌の悪性化

摘要

ホスファチジルイノシトール3キナーゼ（PI3キナーゼ）はアクチン細胞骨格系の制御や細胞内輸送，細胞の生存維持などにおいて重要な役割を果たしていることがこれまでに知られてきた分子であるが，近年の研究により癌の発症や進展にも関与することがわかってきた．筆者らは，PI3キナーゼの強力な活性化分子であるErbB3が消化管由来の腺癌において，細胞の悪性化に関与することを明らかにした．