ルミネッセンス年代測定法：自然放射線を利用して地層の年代を測定する

摘要

2000年11月5日，毎日新聞がスクープした「旧石器遺跡ねつ造」は，考古学会のみならず日本中を騒然とさせた．筆者も何度か足を運hだ「旧石器遺跡」で，数十万年前の地層に縄文時代や後期旧石器時代の石器を埋め込む「ねつ造」が行われていたなどとは想像できなかった．その後，2003年5月まで考古学協会による入念な検証が実施され，600ページを超える報告書『前?中期旧石器問題の検証』が刊行された．この報告書によれば，約4万年前とされた「座散乱木遺跡」から60万年前とされた「上高森遺跡」まで，中期旧石器時代から前期旧石器時代に相当する地層に「石器」を埋め込むことによって，ほほ年代順に「遺跡」がねつ造されてきた．この事件によって，日本の旧石器時代研究は60万年前の前期旧石器時代から35，000年前の後期旧石器時代にまで後もどりしたといわれるが，では，ねつ造された「遺跡」の年代は，どのようにして推定されてきたのであろうか．