PCB 処理における微生物の利用

摘要

ポリ塩化ビフェニル（polychlorinatedbiphenyls，PCBs）はビフェニルに塩素が付いた化合物である。 合成する際に塩素がランダムに付くため，さまざまな数の塩素がさまざまな位置に付いた多様な構造の同族体（congener）の混合物となる（図1A）。 理論的には209種類の構造が可能であるが，実際のPCB製品にも50～100種類もの同族体が含まれている。 PCBは化学的にきわめて安定な難燃性油性溶媒であり，絶縁性に優れ，印刷インク溶剤，電源トランスの絶縁油，蒸留器ヒートポンプの熱媒体，機械部品やIC基板の洗浄剤などに汎用された。日本においては1960年代から生産が始まり，右肩上がりの消費拡大に伴い，1970年にかけて増産が続いた。