遷移金属合金のノンコリニア磁気構造と磁気励起に関する第一原理計算

摘要

今日的な意味での磁性研究が，3d電子に対する「局在モデルと遍歴モデル」の二つの立場から展開されてきたことは周知の通りであるが，この30年ほどのバソド理論の進展と局所スピン密度汎関数（Localspin density functional；LSD）法により，絶対零度に関する限り遷移金属の磁性はバンド理論に基づく遍歴電子模型でうまく記述できることが一般に認められるようになった．今のところ，LSD法に基づくいわゆる第一原理計算は，振作可能なパラメータなしに磁性体の個別性を定量的に記述できる唯一の方法といっても過言ではなく，応用の観点からは材料特性の予測ひいては物質設計の有力な手段としての期待が大きい．