'放射線'の創刊時代

摘要

以下に述べることは,既に、過去の"放射線"の何処かに書いたことなのかもしれませhが、創刊30周年に当たり、創刊時代を再度記憶にとどめることは意義があることと思います.この"放射線"の出版の提案は、実は、私の前の幹事長の森内和之さhによるもので,昭和50年(1975)のVol.2,No. 1に彼が書いた巻頭言によると,この雑誌の発行は.応物故射線分科会講演集が変身した結果であると書かれています。所が、僕の記憶によると,当時の放射線分科会では、分科会の情報交換のために何か薄いパンフレトの様なものが定期的に出版されており(それが講演集だったのかもしれませhが)、それを専門誌に格上げしょぅということだったように思います。 丁度、その頃,私は,現在の高エネルギー加速器研究機構の前身である東大·田無の原子核研究所に寄生していた素粒子研究所設立準備室(当時,素研準備室と呼ばれていました)で仕事をしていたのですが、その設立が正式に認められてその中心部が筑波に移転し、本格的に高エネルギー加速器の建設が始まる直前に辞め、早稲田大学の理工学研究所に移った時でした。 当時、放射線分科会の幹事長であった森内さhから、分科会の次期幹事長になって呉れないかという申し出があり、その際の条件として"放射線"を発刊を依額されたのでした.丁度、その頃、私は、大型加速器建設の仕事から解放されて,その余ったエネルギーを、むしろ物理学会の放射線分科会の再建に注ぎたいと考えていました。 と言うのは、その分科会は,私が立教大学に在籍していた頃、同じ立教大学の織田場末さhや東大教養の鈴木　 洋さhと共に新設したものであったからです。 特に,その分科会が中心となって昭和37年から"放射線物理"という雑誌を発刊し、6号が出るところまでは私が原稿集めをやっていたのですが、私が,昭和40年に素研準備室の加速器建設作業に引き出されてから雑誌の出版作業に従事できなくなってしまったので、丁度、その頃、東工大に移られた織田さhにその仕事を引き継いでもらうことになったのです。 しかし,数年おいて昭和44, 45年と7、8号が出たところで完全に途切れてしまいました。 結局、出版の仕事は、どのような内容を企画するかを毎号考えなければならないのと、予定していた原稿がなかなか集まらないのとでかなり時間を浪費することがあるのですが、この"放射線物理"の経験で,私は、出版事業にはかなり自信があったのです-また、その雑誌の内容にもかなり自信がありましたので,私としては、索研準備室を辞めてから,また, `徴射線物理"を復活したいという気が旺盛でした。そこ八森内さhからの上記のような話があって、暫く、どうしようかなと迷いました。結局,森内さhの熱心な勧誘に負けて,"放射線分科会"の幹事長をお引き受けることにしたのでした。