光触媒を用いるバイオマス由来資源からの持続的プロピレン製造

摘要

緒言：研究の背景プロピレン（1:CH_3CH＝CH_2)は近代物質社会を根底から支えるポリプロピレン（PP)の原料として，不可欠なC3炭素物質である.2011年の全世界のPPの生産実績および総需要はおのおの，50,764千トンおよび49,366千トンであり，2017年までの伸び率は5.1%と見積もられている.日本では年産5，620千トン（2011年）の1の44%がPPとして活用されている.1はまた，アタリロニトリル，プロピレンオキシド，イソプロピルアルコールなどの原料としても重要である.主に石油化学工業におけるナフサ分解によって1はこれまで大規模生産されてきた.近年のシェール革命によってその状況は劇的に変わろうとしている．実際に，シェール(天然）ガス由来のエタン（C_2H_6)からエチレン(C_2H_4)を製造しその後，1を生産する方法が米国や日本では急成長を遂げつつある.一方で，石炭由来のメタノール（CH_3OH)からの1の製造（Methanol-To-Propylene：MTPプロセス）が中国では盛hである.メタン(CH_4：天然ガス?シェールガス由来）の酸化によって得られる一酸化炭素（CO）の水素化，および二酸化炭素（CO_2）の水素化によってもCH_3OHは製造できる.後者の方法は， CO_2をC1資源として活用するアイスランドの国家戦略としてもその名を馳せている.