タンク火災ふく射熱シミュレーション

摘要

わが国の工業を支える石油コンビナートは33都道府県の85地区が石油コンビナート等特別防災区域に指定されている.多くは海湾部に隣接して設置され，石油コンビナート等災害防止法の規制を受ける特定事業所は698事業所にも及ぶ.可燃性や毒性が高い物質が貯蔵されたタンクが密集している場合が多く，それらが流出し拡散することによる周辺地域への影響は大きい.そのため，安全が必須ではあるが，大なり小なり災害が絶えないのが現状である.2003年には十勝沖地震時に原油タンク1基より火災が発生し，2日後にナフサ貯蔵タンクにより火災が発生し44時間炎上した事例がある.法令に基づいた消防体制では鎮火が不可能であり，その後の法改正により大容量泡放射システムの配備が特定事業所に義務付けられている.また，2011年に発生した東日本大震災では，広範囲にわたって危険物施設や高圧ガス施設が被害を受け，これまで経験したことがないLPGタンクの爆発火災，津波による石油類の大量流出や大規模火災が発生している.