社会科学の視点から見たプラントの安全

摘要

2010年代になって，化学プラントにおいて重大な爆発火災事故が頻発している.2011年11月の東ソー株式会社南陽事業所第二塩化ビニルモノマー製造施設，2012年4月の三井化学株式会社岩国大竹工場レゾルシン製造施設，そして，同年9月株式会社日本触媒姫路製造所アクリル酸製造施設と立て続けに大きな事故が起こり，さらに2014年1月には三菱マテリアル四日市工場多結晶シリコン製造施設の事故では5人が死亡することとなった.こうした状況を受け2014年2月には，内閣官房が主導，総務省消防庁，厚生労働省，経済産業省が参加して「石油コンビナート等災害防止関係省庁連絡会議」が設置され，対策を検討してきた.(社)日本化学工業協会もこうした状況のなかで，2013年4月には「保安事故防止ガイドライン」を作成，2014年4月にはその補助教材としての普及版を作成し，人材育成?技術伝承に努めているところである.