ポリアクリル酸を用いたリチウムイオン二次電池用黒鉛負極の開発

摘要

リチウムは，標準電極電位が最も卑（一3 .045 Vv s . S HE) で，さらに理論重量密度が最も高い(3860 nAh g-1）ため，負極としてLiを用いる常温作動のリチウム二次電池は，高電圧および高エネルギー密度が得られる可能性がある． 1980年代，カナダMoli Energy社により，金属Liを負極に用いた最初のリチウム二次電池が商用化された．しかし，充電時に電解液中のLi十イオンが金属Li上へ樹枝状（デンドライト）に析出するため，このデンドライトがセパレータを突き破り，内部短絡による発火あるいは爆発を引き起こすという危険性を含hでいた． 実 際，1989年に発火事故が発生し，これを契機にリチウム二次電池の研究は金属Liからより安全なLi＋ イオンのインターカレーション材料へと推移した． 19 91 年には代替材料として，Li＋ イオンの挿入·脱離が可能な炭素材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池が開発されるに至った．