ローカリゼーションと地域イノベーションの新展開

摘要

近年の経済地理学や関連諸分野における知識とイノべーションをめぐる議論では/産業集積内の知識創造やイノベーションの生成の際に/域外とのつながりが注目されている.水野（2011) によると/イノベーションを生み出す新奇的な知識を得るには/地理的に離れた外部との結合性が重要になり/新奇的な知識が循環するためには産業集積内部の多様性や流動性が必要になる.そしてネットワークにおける開放性や構造特性の違いが/新奇的な知識の獲得に影響を与える(1) . また松原（2007) や與倉（2008/2009a) は/イノべーションを捉える際に/ローカル(サブナショナル) /ノンローカル(ナショナル) /グローバルの3種類の空間的次元を想定することが有益であるとし/それら異なる空間的次元の相互の関連性を論じる必要性を説いている. Bunnell and Coe(2001) が指摘するように/複数の空間的次元にまたがる企業や個人の役割が/イノべーションにとって重要となっているのである.