単一粒子ナノ加工法による機能性 タンパク質ナノワイヤの形成

摘要

タンパク質ナノワイヤは、特定の細胞をターゲット としたドラッグデリバリーシステムや、細胞の接着足 場、さまざまな疾患診断技術への応用の可能性か ら注目されている。タンパク質ナノワイヤ（ナノファイ バー）の形成は、アルツハイマー病に深く関係して いるといわれているアミロイド線維の形成メカニズ ムを参考にして、非常に多くの研究が報告されてい る。ある特定のタンパク質やペプチドが一定方向に 自然に集合していく性質（自己組織化）を利用する ことで、太さが10~20nm、長さは数μm以上の 非常にアスペクト比の高いタンパク質ナノワイヤが形 成される1）。しかし、これらの自己組織化によるタ ンパク質ナノワイヤの形成を行う場合、任意の長さ のナノワイヤを形成することやナノワイヤの長さの均 一性を確保することは極めて困難である。また、ほ とhどのタンパク質分子は自己組織化能を持たな い。そこで、これらの欠点を解消すべく、我々が開 発した単一粒子ナノ加工法（Single Particle Nano-fabrication Technique:SPNT）~(2-5))をタンパク質ナノワ イヤの作成に適用した。本稿では、このSPNT法 を用いて、酵素活性などの機能を持ったタンパク質 ナノワイヤを形成した事例を紹介する6）。