『干潟ベン卜スフイールド図鑑』

摘要

一面に泥が広がる干潟は，そこに棲む生きものたちを知る人にとってはパラダイスだが，そうではない人たちにとって単なる汚い泥地で，埋立てや干拓によって開発すべき場所だと考えられてきた．そのため，日本の干潟面積は1945年から比べてすでに半減し，干潟を主な生息場所とする多くの動植物が絶滅危惧種となっている．しかし，近年は水質浄化などの干潟が持つ作用や，豊富な魚介類の生育場あるいは渡り鳥の飛来地としての重要性が理解されてきたことで，名古屋市の藤前干潟のように埋立て計画が撤回されて保護されるようになった場所もある．また，全国的にも干潟のいきもの観察会などが開催されている．