5．天体プラズマ現象における多階層シミュレーション研究の展望5．2　宇宙全史解明へのチャレンジ-数値天文台プロジェクト-

摘要

現在,ビッグバン宇宙論が広く受け入れられている．ビッグバン宇宙論によれば，今日の宇宙は其空の相転移をエネルギー源とするビッグバンにより始まり，灼熱の世界から急速な膨張とともに冷却していったと考えられている．簡単こその綾をおさらいしよう［1］．ビッグバンから10~(-4)秒後には温度は100MeVにまで落ち，ドロドロに熔けたQuark Gluon Plasmaから中性子や陽子が生まれた.4秒後には温度は0.5MeVにまで降下し，それまで宇宙空間を満たしていた電子，陽電子が対消滅を始める．