南アルプス·広河内岳一農鳥岳中間尾根部の山体重力変形による稜線陥没

摘要

南アルプス北東部，早川の西側には海抜2800m以上の高起伏稜線が南北に連続する（図- 1 ）。それらの頂は白根三山と呼ばれ，最も南側に位置するものが農鳥岳（3026m）である。農鳥岳から南の広河内岳（2895m）とを結ぶ稜線中間部の高まり（以下，中間ピークと呼ぶ）付近には，中間ピークを取り巻くように発達する山向き小崖·線状凹地が2列認められる（図-2，口絵·写真-1）。写真一1（口絵）は，農島岳西側から中間ピーク西面を撮影したもので，中間ピークが稜線に対して相対的に陥没するような変形が発生したことが読み取れる。