分解能の限界にせまる：質量－電子天びhを用いた標準分銅の質量校正

摘要

本号の特集に紹介されているとおり，最近の高性能電子天びhには，最小表示0.1μg，目量の数が100億の仕様を誇る製品が市販されている．この高感度な計測機器を有効に活用し，分解能の限界に迫る精度で質量を評価するためには，測定手順，計量上要求される被測定物の特性，測定環境などの種々の条件について十分な検討が必要になる．本稿では，産業技術総合研究所で実施している，相対的に1.5×10{sup}(-7)より良い拡張不確かさの実現を目指す，高性能な電子天びhを用いた標準分銅の質量校正技術の事例を紹介する．なお，この校正技術では分銅に関する唯一の国内規格であるJIS B7609「分銅」を参照している．