消失模型鋳造法におけるFe-C系合金の吸炭現象

摘要

消失模型鋳造において溶湯の熱による発泡模型の熱分解ガス，ミスト及び液化樹脂などからなる熱分解生成物が多量に発生するが，これらがFe-C系合金で吸炭現象を発生させることは周知の通りである。 ことに鋳鋼においてこの現象は顧著である。 模型内を流動する溶湯は，すべからく乱流を呈しており，したがって模型内を流動する溶湯の吸炭現象は模型あるいは熱分解ガスと接触する溶湯の先端で生じ，吸炭された溶湯は後続する新しい溶湯流によって前方に押し出されて流動する。この時，乱流による撹拌現象により，炭素は幾分希釈されるものと考えられる。 吸炭現象は発泡模型の組成，密度及び鋳造時の熱分解ガス圧などに影響される。 また，Fe-C系合金の種類及びその溶湯の炭素量，溶湯温度なども-炭現象に影響を及ぼす。 本報告では発泡模型の組成を変化させて吸炭現象に及ぼす亜共晶鋳鉄の炭素量（炭素当量:CE値）の影響を検討した。 すなわち，長さの異なる発泡模型内を流動する溶湯流先端の吸炭現象を詳細に調べた。 さらに球状黒鉛鋳鉄，鋳鋼及び高クロム鋳鉄における吸炭現象も種々調べた結果を併せて報告する。