セラミックフォームを含hだ鋳鉄複合化制輪子の摩擦摩耗特性

摘要

鉄道車両には，車輪踏面にブロックを押し付ける踏面ブレーキといわれるブレーキ方式があり，そのブロックのことを制輪子という．制輪子にはいくつかの材質があり，その中の鋳鉄制輪子は，耐摩耗性，摩擦係数が他の制輪子と比較して低いものの，ブレーキ性能が雨や雪の影響を受けず，車輪の踏面を適度に粗し，車輪とレールの粘着力が高く得られ，車輪への攻撃性が低いという特徴を持つ1，2）．鋳鉄制輪子のメリットを活かしつつ摩擦係数や耐摩耗性を向上させるために，元来，鋳造時のノロをこすために使われている炭化けい素フォームを鋳ぐるhだ鋳鉄複合化制輪子が開発されてきた3～6）．セラミックフォームの材質に炭化けい素を選定した理由として，車輪·制輪子間に炭化けい素，アルミナ，ジルコニアの3種類のセラミックス粒子を外部から供給しながら鋳鉄制輪子のブレーキ試験を実施したところ，供給しないものと比較して，ブレーキ距離が炭化けい素では短縮し，ジルコニアでは同等，アルミナでは逆に長くなったためである7∫8）．しかしながら，鋳鉄制輪子にアルミナを粒子状ではなくフォーム状にして鋳ぐるむとアルミナでも炭化けい素と同様の効果のあることがわかってきた9）．そこで，鋳鉄制輪子中に，炭化けい素フォームと2種類のアルミナフォームを鋳ぐるみ，それらのフォームの摩擦摩耗特性におよぼす効果を検討したので，ここに報告する．