ショットブラスト強ひずみ加工されたSUS304L鋼粉末の焼結体の微細組織と機械的特性

摘要

金属材料の高強度化方法の一つである結晶粒微細化法は，結晶粒径を小さくすることにより結晶粒界による転位運動の妨げの割合を増加させ材料を高強度化させる方法であり，さらに結晶粒微細化は材料の靱性向上にも効果があるとされている．しかしながら，ナノオーダーまで微細化された均一ナノ結晶粒材料では，塑性不安定の早期発現により必ずしも十分な靱性の向上が得られるとは限らない．それに対して，微細結晶粒領域と粗大結晶粒領域を有するバイモーダル結晶粒材料は，高強度であるとともに十分な延性を有することが報告されている．中でも，微細結晶粒領域を3次元のネットワーク状に配置した調和組織材料は，鉄鋼材料，チタン材料，銅材料などの種々の材料で高強度·高延性を実現する優れた微細組織制御法である．このような調和組織材料は，メカニカルミリング法による金属粉末の強ひずみ加工によって作製されるバイモーダル粉末を焼結することにより得られる．